欧米ゲーム業界で広がる資金難、インディー成功者による「共助」の動きが加速

欧米ゲーム業界で広がる資金難、インディー成功者による「共助」の動きが加速

欧米ゲーム業界において、中規模以上のオリジナルタイトルの資金調達が極めて困難な状況が続くなか、大ヒットを記録したインディーゲームの成功者たちが後発の開発者を支援するという、新たな「共助」の枠組みが動き始めていることが、4Gamer.netの連載「Access Accepted」で報じられました。

名門スタジオを直撃するリストラの波

記事によれば、FPSの歴史を築いた老舗スタジオ id Software では、テキサス州労働局への開示資料をもとに、親会社ZeniMax Media(Microsoft傘下)による人員削減の影響で、在籍していた約185名のうち136名が解雇されたと伝えられています。残る人員はゲームエンジンを維持する技術者を中心に50名足らずとされ、中規模インディースタジオを下回る体制となりました。

また、『DOOM』の生みの親であるジョン・ロメロ氏が率いる Romero Games も、大手パブリッシャからの資金提供が2025年夏に打ち切られ、110名規模だったチームは9名にまで縮小されたと報じられています。資金提供元はMicrosoftであったとされ、同社のXbox事業におけるコスト削減策と時期が重なるとのことです。

さらに、『Dead Space』や『The Callisto Protocol』を手がけたグレン・スコフィールド氏が、日本時間7月15日にビデオメッセージでゲーム業界からの引退を表明しました。新作アクションゲームの開発資金として約1700万ドル(約27.5億円)を求めて奔走したものの、パブリッシャからは1000万ドル以下への圧縮を要求され、望むクオリティの制作は不可能と判断したことが、引退の背景にあると記事は伝えています。

成功したインディーが後発を支える構造

こうした厳しい状況のなか、大ヒット作で潤沢な資金を得たインディー開発者自身が、新たな資金提供者やパブリッシャとして立ち上がる動きが広がっています。

記事で紹介されているのは、『Among Us』を手がけた Innersloth によるファンディング部門「Outersloth」です。2024年6月に発足し、2025年末時点で23作に資金提供、うち8作がリリース済みとされています。開発者にクリエイティブ面での要求や圧力をかけず、IPの所有権を開発者側に残す仕組みが特徴とのことです。

このほか、『REPO』の開発元semiworkなどへの投資実績を持つスタジオや、ポケットペアが年に2〜3本のペースでインディータイトルを支援するパブリッシング事業を計画していることも紹介されています。ポケットペアは、リリースまで1年を切った開発最終段階のタイトルを主な支援対象とする方針とのことです。

また、複数の開発スタジオが株式を保有し共同で経営に関わる協同組合型のパブリッシャ Kepler Interactive も取り上げられています。2021年の設立以降、『Clair Obscur: Expedition 33』などを世に送り出しており、加盟スタジオ間で技術やノウハウを融通し合う体制が敷かれているとされています。

伝統的な投資家が財務指標のみで判断するのに対し、これらの新興プレイヤーは同じゲーム制作者の視点から作品の価値を評価する点が共通しており、業界の多様性を維持するうえで重要な役割を担いつつあると記事は結んでいます。

参照元: 4Gamer.net