Housemarqueが『Saros』のVFX技術を解説 新統合フレームワーク「Graphite」を導入

Housemarqueが『Saros』のVFX技術を解説 新統合フレームワーク「Graphite」を導入

Housemarqueは、PlayStation Studios公式ブログにて、PS5向けSFシューター『Saros』で使用されている新たなビジュアルエフェクト統合フレームワーク「Graphite」の技術解説を公開しました。本記事では、同社が『Returnal』から積み重ねてきた技術をどのように再構築したかが詳しく語られています。

NGPからGraphiteへの進化

Housemarqueの独自パーティクルエンジン「NGP(Next-Gen Particles)」は、2013年の『Resogun』のプロトタイプとして誕生し、『Returnal』に至るまでの各タイトルで成長を続けてきたものです。同社によれば、NGPは成熟していた一方で、12年間にわたる個別タイトル向けの段階的な意思決定の積み重ねでもあったとのことです。

PlayStation Studiosへの加入を機に、同社はGPUシミュレーション、レンダリング、ツール、DCC連携を一つのアーキテクチャに統合した新フレームワーク「Graphite」を構築しました。NGPは消滅したわけではなく、Graphiteの一部としてより進化した形で組み込まれているとのことです。

2種類のボリュメトリックフォグ

『Saros』では、ボリュメトリックフォグを世界の生きた一部として表現するため、2つの相補的なシステムが構築されています。

ひとつは、Unreal Engineのフロクセルフォグをベースに大幅な再構築を施した「低周波フォグ」。デフォルトで90%のヒステリシス係数を50%まで下げ、ブルーノイズジッタと深度クランプでエイリアシングを抑制しているとのことです。デュアルHenyey-Greensteinフェーズ関数や、有色吸収係数、セルフシャドウイング、物理ベースの空ライティングなどを採用し、舞台「Carcosa」の大気に物理的な質感を与えています。

もうひとつは、特定のストーリールームで使用されるキャラクター演出向けの「高周波フォグ」です。カスタムレイマーチャーを構築し、8x8x8ボクセル単位でデータをクラスタリングすることで、パフォーマンスと描画品質を両立させています。

Houdiniとの連携によるVFX制作

Graphiteでは、アーティストがVFXをオーサリングする新たな手段として、Houdiniからのデータ取り込みを実現しています。具体的には、Houdini上で高精度なデータを事前計算する「オフラインHoudiniデータパイプライン」と、シミュレートされたポイントをリアルタイムでボリュームにラスタライズする「ランタイムポイントクラウドラスタライザー」の2つのツールが新たに導入されました。

この技術の代表的な活用例として、プレイヤーのスポーンシーケンスが挙げられています。Houdini上でプレイヤーのスケルタルメッシュにスプラインを生成し、ランタイムでパーティクルシステムが挙動を制御。マーチングキューブス法を用いて、粘性のある「ゴー」状の液体からキャラクターが再構成されていく演出を実現しています。ボリュメトリックフォグや、プレイヤーのコリジョンカプセルから生成されたSDFと衝突するスパークパーティクルも組み合わされており、これら全てが事前ベイク無しでPS5上で60fpsで動作しているとのことです。

Housemarqueは、今後も自社タイトルがGraphiteの技術開発に影響を与え、PlayStationプラットフォームの可能性を示し続けるとしています。

参照元: PlayStation Blog