韓国・釜山で開催中のインディーゲームイベント「BIC2026」において、2026年8月14日、元SIE(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)ワールドワイド・スタジオ プレジデントの吉田修平氏によるトークセッション「TALK with Shu: 'How Publishers Actually See Your Game'」が実施されました。韓国のインディー開発者2名を招き、パブリッシャがピッチのどこを見ているのか、そして長期的な関係を築くために何が必要なのかが語り合われたとのことです。
パブリッシャがピッチで見る3つのポイント
セッションの進行役を務めた吉田氏は、SIE退社後にyospを設立し、現在はインディーパブリッシャやデベロッパのアドバイザーとして活動している人物です。ゲストには、デッキ構築型ローグライク『Sanctuary: Shattered Sun』を手がけるI M GAMEのマーケティング担当Doyoon Kim氏と、単独でアクションゲーム『CRIMSON PANDEMIC』を開発している21歳の大学生開発者Keunjae Yook氏(活動名「#FF0000」)が招かれました。
吉田氏は、パブリッシャがピッチで注目するポイントとして次の3つを挙げたと報じられています。1つ目はゲームそのものの内容、2つ目は開発チームの実績や経験、3つ目はパブリッシャに何を求めているのか(ファンディング、ローカライズ、マーケティングなど)です。これら3点を1つのドキュメントにまとめることがベストプラクティスだと述べたそうです。
また、トレーラーについては、ロゴやストーリームービーから始まる映像よりも、すぐにゲーム画面が始まり、どんなゲームかが視覚的に伝わる映像が好まれると指摘。多数のピッチを見るパブリッシャの視点から、機能を羅列するのではなく「なぜ面白いのか」「どう売れるのか」を伝えることの重要性が語られました。
クオリティと信頼関係の重要性
オリジナリティと商業性のバランスについて、吉田氏は「クオリティの高くないゲームで売れるゲームはない。まずはクオリティの高いゲームを作り、そのなかで運が良ければ売れるゲームになる」と語ったとのことです。オリジナリティに関しては「あればあるほどよい」との明快な回答を示しました。
パブリッシャとの付き合い方については、両者のタイプの一致が重要だと強調されています。フィードバックまで踏み込んで関わりたいパブリッシャもいれば、パブリッシングに徹する会社もあり、デベロッパ側の希望と合致する相手を選ぶことが大切だとしています。加えて吉田氏は、契約時には条件面だけでなく「人として信用できるか」を見極めることが重要であり、疑問があれば契約を見送る判断もあってよいと述べました。
『Expedition 33』のエピソードも紹介
トレンドへの向き合い方に関しては、吉田氏がアドバイザーを務めるKepler Interactiveの『Clair Obscur: Expedition 33』の逸話が披露されました。発売の約2年前にプレイアブルデモに触れた吉田氏は、開発元のSandfall Interactiveに対して、当時「古い」と見られていた「ターンベースRPG」という表現を使わないよう助言したそうです。実際、同作は「リアクティブ・ターンベースバトル」といった表現を用いてプロモーションされ、大ヒットに至ったとされています。
セッション終盤には開発者側から吉田氏への質問時間も設けられ、注目されない良作への対処法として「最後まで仕上げてSteamに出しておくこと。評価の高い前作は次のピッチで大きな武器になる」との回答が示されました。ピッチの組み立てから契約時の注意点まで、インディー開発者にとって実践的な内容が詰まったセッションとなったようです。
参照元: 4Gamer.net