業界関係者が警鐘、AAAゲーム開発費は最大600億円規模に。「アタリショック以来の危機」との声も

業界関係者が警鐘、AAAゲーム開発費は最大600億円規模に。「アタリショック以来の危機」との声も

イギリスの老舗ゲーム誌「Edge」が2026年11月号にて、ゲーム業界の構造的問題を扱った特集記事を公開したことが分かりました。「Crash 2.0」と題されたこの特集では、複数の業界関係者が現状の危機的状況を1980年代にアメリカで起きた市場崩壊、いわゆる“アタリショック”になぞらえて語っています。

AAAゲーム開発費は約400倍に高騰

特集記事内では、Epic GamesのCEOであるTim Sweeney氏が、AAAゲーム開発の高コスト化とハードウェア部品不足という「内外からの課題」に直面していると指摘。現在のAAAゲームの予算規模は2億5000万ドルから4億ドル(現在のレートで約383億円〜613億円)にのぼるとの見方を示したと報じられています。

MMORPG『Ultima Online』のリードデザイナーを務め、現在Playable WorldsのCEOを務めるRaph Koster氏は、開発費が10年ごとに約10倍のペースで膨らんでいると長年指摘してきた人物です。同氏の試算では、AAAゲームの開発費は1990年代半ばの約100万ドルから、2005年に約1000万ドル、2015年に1億ドルへと拡大。現在までの約30年で400倍近い規模になっている計算になるとのことです。

AI需要による半導体調達競争

Sweeney氏は特にハードウェアの供給不足について、「AI事業者は、あらゆる部品でエンターテインメント産業全体の入札額を上回っている」とコメント。AI基盤やデータセンター構築のための大規模投資により、ゲーム業界の優先順位が相対的に低下していると説明しました。RAMやストレージ部品の価格は約4倍に高騰しており、この供給不足は今後3年程度続くとの見方も示されています。

開発規模見直しの提言

ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンやSCE Americaの社長を歴任したShawn Layden氏は、より低コストな開発への転換を提唱。5000万ドル(約80億円)規模の売上を「良いこと」として捉えられるビジネスモデルを模索すべきだと述べています。また、体験やストーリーに寄与しない過剰な作り込みを「見せかけの芸(party trick)」と呼び、「歩いて横断するのに45分もかかるような世界を丸ごと作り込む必要があるのだろうか」と、コスト増につながる要素の必要性に疑問を投げかけました。

また、元Tencent Gamesビジネス開発ディレクターのAmir Satvat氏は、欧米を拠点とするAAA開発者にとっての現状を「1983年のアタリショックに匹敵するほど深刻な状況」と表現。AI活用による人員削減の後、削減しすぎた反動で再雇用の動きも一部で見られると述べており、AIが即座に生産性を向上させる万能の解決策ではないことがうかがえます。

開発費の高騰と半導体需要の増大という2つの課題に対し、各社がどのような対応を取るのかが今後の焦点となりそうです。

参照元: AUTOMATON