Remedy Entertainmentが手がける『CONTROL Resonant』のディレクターMikael Kasurinen氏が、本作におけるプレイヤー誘導の設計思想について語りました。同氏によれば、近年のゲームで多用されるいわゆる「黄色いペイント」による誘導表現は、本作ではあえて採用していないとのことです。
「自律性」を重視した誘導設計
『CONTROL Resonant』は、前作『CONTROL』の続編にあたる作品です。前作の主人公ジェシー・フェイデンの弟ディランが主人公となり、超常的災害により崩壊したマンハッタンを舞台に、変形する近接武器「Aberrant(アベーラント)」を用いた激しい近接戦闘を繰り広げる内容となっています。
上下左右に建造物が入り組む広大なフィールドを探索するゲームプレイが特徴の本作ですが、目立つ黄色の塗装でプレイヤーを目的地まで導くような、いわゆる「黄色いペイント」表現は採用されていません。代わりに、ダクトテープや照明といった環境要素を活用した、自然な誘導が用いられているとのことです。
Kasurinen氏は、ゲームを魅力的にする重要な要素としてプレイヤーの「自律性(Autonomy)」を挙げています。指示通りに動いて得た結果と、自分なりに方法を見つけ出してたどり着いた結果とでは、得られる感動が大きく異なると同氏は説明。プレイヤーには単なる傍観者ではなく、体験に主体的に参加してほしいとの考えを示しました。
ビジュアルデザインで導く工夫
明確なナビゲーションが存在しない場合、プレイヤーが迷子になる懸念もあります。この点についてKasurinen氏は、ゲーム内のあらゆるビジュアルデザインが重要になると解説しています。照明の配置や色の使い方、特定の色をどこで用いるかといった判断の積み重ねが、プレイヤーの行動を導くのだといいます。
また、地形の崖端などに「目印」を配置することもあるものの、マップの至るところに目印を置けばかえって混乱を招きかねないため、本当に必要な場所に限って使うべきだとの考えを示しました。
同氏は、こうしたアプローチが一部のプレイヤーにとっては難しく感じられ、多くのプレイヤーを遠ざけてしまう危険性があることも認めつつ、作品が長く評価され続けるためには正しい方向性だと信じていると述べています。
「黄色いペイント」議論の背景
一方、「黄色いペイント」表現が多くのゲームで採用されている背景には、開発上の切実な事情もあります。過去に米IGNの動画で解説されたところによれば、開発中のプレイテストにおいて、開発側が気づいてほしい場所やオブジェクトがプレイヤーに見過ごされるケースが少なくないとのこと。こうした見落としを防ぐための手段として、目立つ誘導表現が用いられることがあると説明されています。
直近では『Marvel’s Wolverine』において、実質的なナビゲーションとして機能する「匂いの痕跡」の表示が目立ちすぎるとして一部プレイヤーから批判を受け、後のアップデートで調整や個別オフ設定の追加が行われる事例もありました。分かりやすさと没入感のバランスをどう取るかは、現代のゲーム開発における課題の一つとなっているようです。
参照元: AUTOMATON
